日本の会計士の大多数が監査業務を経験するわけですが、「監査はクライアントに嫌がられる」という経験も同時にしている人はほぼ100%なのではないでしょうか。
実際に、監査のための資料請求や質問をしたりするとそういう風に思われているなと感じたことも多々あります。
もちろん、あからさまに嫌がっていなくても「あ~、この人は優しくお願いを聞いてくれるけどやっぱり内心面倒なんだろうな」と会計士自身が軽い被害妄想にとらわれることもあるのではないかと・・。
ということで、今回は監査業務に対するクライアントの心理と個人的な経験を語っていきます。
クライアントに嫌がられる代表的な場面
会計士になる人のほとんどは、会計監査を経験している人が多いでしょう。
それだけ、「監査=会計士としての基礎」とも言えるので一度監査法人に入所して少なくとも3年以上は監査経験を積めば転職市場で引く手あまたな会計士として仕事に困ることはなくなります。
ただ、僕がUSCPAをとって監査の仕事を選んだ理由の一つとして「営業をやりたくない」「サービス業のように、顧客と密に接するような業種もやだ」というようにいわゆる消去法で選んで部分もあります。
確かに、監査法人では最終的にはすべての成果物を「調書」にして完成させるのですが意外にも黙々と作業をするだけではなくクライアントへ突然のお願いをしたり色々とヒアリングしたりすることも多いんですよね。
前置きが長くなりましたが、監査というのは極端に言うとクライアントの通常業務を邪魔することですからそれだけで監査の時期になるとクライアントの沸点が少し高めの状態になるのです。
特に・・・
・内部統制のヒアリング
・追加資料の要求
・徴求した資料についての電話での細かい質問
上記のような、追加資料や質問をしたりするとやはり明らかに嫌な雰囲気を出すクライアントもいます。
もちろん、それは資料のお願いの仕方だったり質問のタイミングや聞き方に工夫をすることで相手の不快感が少しでも収まるようなやり方をすることが我々の仕事の重要な部分でもあります。
なので、監査といっても国税庁のように捜査権があるわけではないので上からものをいうなんてのはもってのほかなんですよね(某ドラマだと相当強気な口調でしたが・・)。
監査報酬をもらって監査をしているという自覚が足りない会計士
「監査している=こっちが上の立場」と、たまに勘違いして監査法人に入ってくる新人さんはいます。
そうははっきりと思っていなくても、やっぱり監査する側の自分に優越感を持っている人もいるのかもしれません。
実際、自分も1年目の時にクライアントの人に「今日中に○○に関する資料を作成してもらえませんか?」なんていうありえないことを言ったことがあり、そのクライアントの人に「あの、こちらも通常業務があるので・・・「今日中」にというのはさすがに勘弁してもらえませんか?」と言われました。
その瞬間、「あ!今の俺、すごくやばい!」とハッとしたことがあり目が覚めました。
自分は、クライアントはお願いすればやってくれると勝手に思ってしまっていたので悪気がないだけに余計に質が悪かったかもしれません(汗)
もちろん、その後は常にクライアントの人にお願いや質問をするときは一旦自問自答してから接触するように気をつけることになったので他の人もこういう経験あるんだろうな~と。
また、自分のように無茶な期間で資料を要求するだけでなく「言葉遣いが明らかに悪い新人」も結構いたりします。
でも、よくよく考えると「監査報酬をもらってこっちが監査させてもらってる」ので完全にお客さんなんですよね相手は!
クライアントに怒られたこと、馬鹿にされたこと結構あるよ・・
もちろん、上記の自分の失礼な要求以外にもクライアントに怒られたり馬鹿にされた(からかわれた?)こともあります。
1年目に、内部統制の監査業務でクライアントから提供してもらった資料の順番をバラバラにしたまま片付けてしまったり、ヒアリングの事前準備をしっかりしていなくて的を得ていない質問をしたりして「大丈夫ですか?」なんて言われてしまったり(汗)
また、結構簡単なことをクライアントの人に質問してしまい、年配の経理担当の方に「これはね~、ここを見ればいんですよ。せんせ~い!」
明らかに「先生」と自分を呼ぶ呼び方が尊敬の念とは全く逆方向でしたね(笑)
一生嫌われ役の監査業務をやっていくのかという葛藤
上記だけに限らず、理不尽な形でクライアントに怒られたりしたことがある人もいるでしょうし自分のミスでなくとも監査と業務の性質からそもそもクライアントの人がイライラしていて連絡をするだけで怒られた形になってしまう経験をした人もいるでしょう。
この業務をしていて痛感させられたのは、やはり「監査ってエクセルとワードだけで調書を作成していればいい仕事ではない」ということです。
もちろん、労働時間の7~8割はPCの前で黙々と作業です。
でも、年次が上がっていくにつれてクライアントとのミーティングとか議論なども多くなっていく。
基本的には、やはり監査はクライアントにとって少なからず負担になるので全く嫌われてないというのは嘘になるでしょうね。
なので、たまに「このまま監査業務をやっていていいのかな?顧客に喜ばれる業務をやってみたいな」ということで別の業務または会社に転職していく人も結構いるんです。
嫌われ監査は基本ですけど、それも含めての監査人の仕事ですからね。
以上!
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