「何か自分に合いそうな良い資格はないかな?」
「USCPAってどんな資格?」
キャリアアップなどのために資格取得を考えたり、すでにUSCPAに興味を持ち始めた人もいるかもしれません。
ここでは、USCPAを取得して米国公認会計士として仕事してきた私が「USCPAがどんな資格か」というのを網羅的にざっくりと解説していきます。
USCPAって何?/1-13
USCPAとは、「U.S. Certified Public Accountant」の略称でアメリカの公認会計士資格のことです。
日本語では「米国公認会計士」と呼ばれる事もありますが、日本では「USCPA」という呼称が一番使われます。
ちなみに、アメリカ国内では「US」とはつけずに単に「CPA」と呼ばれます。
USCPAはアメリカの公認会計士資格ですが、正確には「アメリカ○○州の公認会計士」という感じで州ごとの資格として認定されます。
また、アメリカで認定されているものなので資格を持っている州で会計事務所を開いて独立することはできますが、日本国内においては独占業務がないため開業はできません。
日本国内では「スキルや英語力を証明するための難関資格」という位置づけで、近年人気資格となっています。
USCPAになるには?
USCPAになるためには、ライセンスを取得する必要があります。
そしてライセンス登録をするためには、まずUSCPA試験に合格する必要があります。
なので、
- USCPA試験に合格する
- USCPAライセンスの申請をして登録をする
- 名刺などに「米国公認会計士」と記載して公に名乗れるようになる
という手順となります。
USCPAの受験資格/4-1
USCPAになるための最大の関門は、試験に合格することです。
そのためには、まずUSCPAの受験資格を得ることが最初にやる事になります。
USCPAの受験資格は州ごとに異なっていて統一されていません。
ですが、ほとんどの州で以下の要件が必要となってきます。
・大学卒もしくは卒業見込み
・一定の単位数(120 or 150単位)を取得
・一定のビジネス・会計単位を取得
USCPAの受験申込をする前に、まず最初に「どの州に出願するか」を決める事になるのでまず自分が出願したい州もしくは要件を満たせそうな州を先に選択する必要があります。
ただ、日本に住んでいる人が受験できる州というのは限られており以下の5つに絞られてきます。
・ワシントン州
・ニューヨーク州
・モンタナ州
・グアム州
・アラスカ州
資格の価値や試験の内容はどの州でも変わらず統一されているため、上記の5つの州から自分の好きな州を選ぶ事になります。
多くの日本人はニューヨーク州、アラスカ州、グアム州を選んで受験しています。
高卒であれば、モンタナ州のほぼ一択です。
そして、自分が選んだ州の要件を満たして受験資格を得た後に受験可能となります。
USCPAの試験制度と内容/5-1
USCPAの試験制度は他の資格試験と違い、以下のように色々と特徴的です。
試験会場:世界各国のテストセンター(日本は東京と大阪の2箇所)
試験日:ほぼ毎日
試験方式:CBT方式(PCで受験)
出題形式:MC問題(4択)とTBS(シミュレーション)問題
出題言語:英語
合格点:75点以上
科目合格制度:あり(1科目ずつ受験可能)
合格発表:年4回
受験料:約350ドル(日本受験の場合はさらに390ドル追加)
試験科目は以下のようになります。
コア3科目(必須)
・FAR(財務会計)
・REG(税法及び商法)
・AUD(監査及び証明業務)
選択科目3科目(1つを選択)
・BAR(ビジネス分析及び報告)
・ISC(情報システム及び統制)
・TCP(税法遵守及び税務計画)
ざっくり記載すると上記のような感じで、日本のポピュラーな資格試験に比べてかなり新鮮です。
USCPA試験の難易度/2-4
USCPA試験の難易度は「比較的高い」というレベルです。
必要な勉強時間は約1000~1500時間ぐらいとなり、合格までの期間は1年~1年半ぐらいが目安となります。
日本の公認会計士試験よりは合格しやすく、簿記1級よりは少し難しいといったところです。
英語の試験で専門性もある程度高いため難易度が高く感じる人が多いでしょう。
ただ、社会人として働きながら合格できる資格なので仕事を辞めて専念するのはあまりおすすめしません。
独学で合格するのは現実的ではなく、USCPA予備校を利用する事がほぼマストになります。
USCPAの年収/9-2
USCPAの年収はどの業界で働くかによっても異なってきますが、全体的に高収入です。
USCPA1年目の場合、年収は400万~500万スタートくらいが相場となっています。
そこから7~8年ほど順調に仕事を続けていけば年収1000万円が現実的に見えてきます。
また、USCPAは転職を何度か繰り返しながらキャリアアップしていく傾向があるので、最終的にCFOやそれに準ずるポジションにたどりつくことも可能です。
その場合、1500万~2000万円ぐらいになる事も普通にあります。
業界によっても異なりますが、USCPAは高年収ポテンシャルが高い資格と言えます。
USCPAで活躍できる業界/9-4
USCPAの年収レンジが高いのは、以下のような高年収業界で需要があるためです。
・監査法人(監査)
・監査法人(アドバイザリー)
・監査法人系FAS(MA&アドバイザリー)
・税理士法人
・コンサルティングファーム
・外資企業経理・財務(FP&A)
・大手グローバル企業の管理部門
USCPAに合格すると、上記のような業界や職種で活躍を狙えるようになります。
会計と英語を使って仕事をする場面が多くなるので、USCPAが求められているということです。
USCPAのメリットとデメリット/1-4
USCPAを取得するメリットとデメリットは以下のようになります。
メリット
・英語や会計だけでなくITやファイナンス・経営分析などを幅広く学べる
・難易度の割に年収の高い企業に転職できるので金銭的なコスパが良い
・海外就職が狙える
・洗練されていてかっこいいイメージを持たれる
・専門性とグローバル性の両方を兼ね備えた希少人材になれる
デメリット
・取得費用が他の資格に比べて高い(約100万円)
・試験に合格しても就職や転職が約束されているわけではない
・海外取引のない日本の中小企業ではほとんど知られていない
・日本では独占業務はないので、会計事務所を開業できない
・純粋な会計知識では公認会計士には劣る
メリット・デメリットを挙げましたが、狙う業界や職種を間違えなければデメリットはあまり気にならないレベルです。
USCPAは受験料が1科目10万円ほどするので高いですが、合格して転職して年収がアップすれば1年ほどで回収できます。
個人的には、メリットの方が遥かに大きなものなのでUSCPAをおすすめしています。
USCPA資格の世間での評価
USCPAは資格の事にあまり興味がない世間一般においてはほとんど知られていません。
簿記検定・公認会計士やTOEICなどは多くの人に認知された資格ですが、それに比べるとUSCPAは世間の認知度はまだまだ低いのが現状です。
「アメリカの公認会計士?なんかすごそう!」という反応は返ってきますけどね。
ただ、上記で挙げたような業界の人たちはUSCPAをある程度分かっているため高く評価してくれます。
そういった意味では、USCPAは「ビジネスパーソンのための専門資格」と言ってよいでしょう。
また、USCPAは将来性のある資格で今後も伸びていく事が予想されますので世間的にも徐々に認知されていくのではないでしょうか。
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