「USCPAと簿記1級ってどっちが難しい?」
「両方取得するメリットってある?」
会計資格の取得を考える時に、USCPAと簿記1級のどっちを取得しようか考える場面はあると思います。
今回は、USCPAと簿記1級を受験した私が両方の資格難易度の比較&両方取得のメリットを解説していきます。
USCPAの方が簿記1級より難しい/2-4
どっちの難易度が高いかという事については結論から言うと、
・USCPAの方が簿記1級より合格するまでに大変
という結果となります。
ここでは、USCPAと簿記1級の難易度を様々な角度から比較していきます。
勉強時間/2-3
まず、USCPAと簿記1級の勉強時間は以下の通りとなっています。
USCPA:1200時間~1500時間
簿記1級:500時間~1000時間
勉強時間という観点から、USCPAの方が学習時間は多く必要なため大変です。
ただ、簿記1級の場合は500時間ぐらいでスムーズに合格できる人もいれば1000時間くらいかかる人もいるので勉強時間に個人差が大きいです。
もちろん、これはUSCPAも同じで2000時間ぐらいの勉強時間を必要とする人もいます。
いずれにせよ、簿記1級の方が合格までの勉強時間は少なくてすみます。
受験資格/4-1
USCPAと簿記1級の受験資格を比べてみると、以下のようになっています。
USCPA:大学卒か卒業見込みで一定の単位を取得(州による)
簿記1級:誰でも受験可能
USCPAは受験資格を満たすために単位を取得したりする手間がありますが、簿記1級は誰にでも門戸が開かれている資格となっています。
そのため、「何か難しい資格をとって自分の価値を大きく上げたい!」と思う人にとってはUSCPAよりも気軽に実行できる資格です。
思い立った時にすぐに勉強を始められるため、簿記1級の方が気軽ですね。
試験制度/5-0
続いて、USCPAと簿記1級の試験制度をざっくり比較してみましょう。
USCPA
・科目:コア3科目と選択科目1科目の計4科目
・出題形式:MC問題(4択)とTBS問題(シミュレーション)
・受験日:ほぼ自由に設定可能
・試験方式:CBT(テストセンターのPCで受験)
・合格点:各科目75点以上
簿記1級
・科目:4科目
・出題形式:記述、穴埋め、〇×、4択など
・受験日:年2回
・試験方式:指定会場でのペーパー試験
・合格点:70点以上
試験制度に関しては、USCPAの方が受験日をほぼ自分の自由に設定できるので気軽さがあります。
対して簿記1級は6月と11月の年2回しかチャンスがないため、不合格の時のショックはUSCPAより大きいでしょう。
また、USCPAはテストセンターのPCで試験を受けるためペーパーテストが面倒な人にとっては簿記1級よりUSCPAを選んだ方が良いと言えます。
合格率/5-9
USCPAと簿記1級の合格率は以下の通りですが、少し面白い結果に。
USCPA:推定15%~20%(日本人の全科目合格)
簿記1級:約10%
USCPAより、簿記1級の方が合格率は低い数値となっています。
USCPAの方は日本人の正式な合格率というのが公表されていないため、あくまでも推定となりますが簿記1級よりも合格率は若干高めです。
合格率は受験者の属性にも左右される部分もありますが、合格率だけを見るとUSCPAの方が取り組みやすいようにも思えます。
問題の複雑さ
問題自体の難易度という意味では、USCPAより簿記1級の方が複雑で難しいです。
USCPAと簿記1級の問題の複雑さを囲碁・将棋に例えてみると、
USCPA:回答するために1手先もしくは2手先まで考えれば十分
簿記1級:回答までたどり着くのに3~4手先を考える必要がある
といった感じでしょう。
USCPAは試験範囲が広いためMC問題など1問1問の複雑さはそこまで難解ではないです。
USCPA自体が「基本的な会計知識を試す試験」という位置づけなので、1問に対して頭を抱えて考え込むようなことはあまりありません。
対して、簿記1級は問題数がUSCPAに比べて少ない事もあり1問1問が重いです。
中には、超難問が混じっていることもあり問われている事が良く分からない場合もあったりします。
そのため、暗記中心で挑んでしまうと簿記1級の問題に対応できなくなることが多いです。
両方受験した感想
簿記1級の方が問題自体が複雑で合格率が低いからといって、簿記1級の方が難しいという風には個人的には思えません。
私はUSCPAを受験する前に簿記1級にチャレンジし不合格となってしまいました。
ただUSCPA受験を見据えて1級の勉強内容を役立てればいいぐらいの動機だったので、勉強時間も少なく必死さはあまりなかったというのもあります。
1級の問題は自分にとってもUSCPAにはない頭を抱える複雑さでしたが、それでもUSCPAの方が受験資格を得る労力や英語試験というハンデ・試験範囲の広さなど学習中に「きつい」と思う場面が多かったです。
英語で広い試験範囲の問題をカバーするというのは、やはり日本人にとってUSCPAの方が合格までの道のりが長くなる大きな要因となります。
向き不向きで難易度が分かれる
自分の感覚ではUSCPAの方が難易度は高いと思いますが、実際にどっちが難しいかは個人の好みや向き不向きで分かれるところだと思います。
USCPA:英語+広く浅い知識が必要
簿記1級:狭く深い知識が必要
USCPAは英語に加えて幅広い範囲に対応するのがきつい一方で、簿記1級は簿記という学問を深く掘り下げて学習&解答しなければいけない難しさがありますね。
自分の適性に合わせて、どっちの資格が良いか決めるべきでしょう。
USCPAと簿記1級はどっちが良いか?
結局のところ、USCPAと簿記1級はどっちを取得する方が良いのでしょうか?
これはやはり「その人の状況に応じて違うので人それぞれ」という回答になります。
ただ、個人的にはそれぞれ以下のような人におすすめしたいです。
USCPA:グローバルに活躍したい、高収入業界で働きたい、かっこいい資格を取得したい
簿記1級:経理の仕事を深く極めたい、会計知識を深く学びたいけど英語は嫌い
両方ともかなり難関な資格というのは間違いないので、グローバルに活躍したいかどうかが一番の分かれ道になるかと思います。
両方とも取得した場合はさらに強い!/2-14
USCPAと簿記1級の資格を比較してきましたが、両方を取得すればさらに希少価値の高い人材となる事ができます。
両方取得は以下のメリットがあるため、どちらかを先に取得した人はもう一方の取得を考えてみてもいいのではないでしょうか。
相互に足りない知識を補完できる
USCPAと簿記1級をダブル取得した場合、お互いに足りない知識やスキルを補完できるといったメリットがあります。
具体的には、
USCPA:簿記の知識が浅い
簿記1級:英語とビジネス全般の知識に弱い
このように両方の資格には弱点がありますが、ダブル取得するとお互いの足りない部分を補うことができます。
両方取得した人は、
「英語で深い会計知識を扱えてビジネス全般の教養もある洗練されたかっこいい人」
となるのです。
監査法人や経理職で評価倍増
JCPAほどではないにしても、比較的深い会計知識があり英語も扱えるとなれば監査法人や経理職において大きな強みを発揮します。
例えば、監査法人側もUSCPAは会計自体の知識が浅いことを知っていますので簿記1級も併せて取得しているとなれば採用時にも大きくプラスになります。
また、自分が監査法人にいた時に業務においてはUSCPAの会計知識だけでは足りず簿記1級レベルがあると仕事がさらにスムーズにいくだろうなと実感していました。
経理職においても、大企業などでは1級レベルの簿記知識が必要な場面も多々ありますのでダブル取得していると単体より大きく評価されます。
転職できる対象会社が増える
また、監査法人や経理職だけでなく多くの企業において「USCPA+簿記1級」があるとどちらか一方だけより評価してくれる場面が増えます。
USCPAはグローバルな企業には強いですが、あまり海外取引などに馴染みのない企業では評価されない事もあります。
逆に簿記1級だけでは監査法人やFASなどの業界に応募できない事がほとんどです。
もし両方とも取得していれば、どの企業もどちらかを必ず評価してくれるので転職できるチャンスもその分増えることになります。
両方を取得するのは簡単ではないですが、余裕があれば是非ともチャレンジしてみることをおすすめします。
以下は古い記事になります↓↓
USCPAと簿記1級に必要な勉強時間で難易度を比較
資格の難易度を比較するときに重要な目安となるのが、「勉強時間」です。
勉強時間が大体同じくらいであれば、分野が違っても合格のための難易度は大体同じくらいということが言えますよね。
で、USCPAと簿記1級の勉強時間はどれくらいかというと・・・
USCPA:約1000時間
簿記1級:約1000時間
そう、両方とも必要な勉強時間はほとんど一緒なのです。
勉強時間だけで言えば、難易度はほぼ一緒くらいということです。
これは初学者が勉強を始めてから合格するまでの目安なので個人差はありますが、USCPAも簿記検定1級も合格した周りの声を聞いてみると大体両方ともこのぐらいに落ち着きます。
1000時間ほど勉強すれば、どちらの試験も確実に合格ラインになっていますが人によってはUSCPAなら700時間だったり簿記なら500時間だったりすることもあります。
例えば、簿記1級なら2級にすでに合格している人ならば1000時間未満でも合格ラインに達することもあります。
また、USCPAならTOIECの点数がある程度高かったり簿記の知識がすでにあったりする場合は700時間~800時間くらいで合格できる人もいます。
いずれにせよ、初学者は1000時間を標準として考えるのが一番間違いないでしょう。
USCPAと簿記1級の試験問題自体の難易度を比べてみると・・・
次に、USCPAと簿記1級の問題の難易度について比べてみましょう。
両方を受験した個人的な感覚としては、問題自体の難しさだけで言えば簿記1級の方が遥かに高いです。
反対に、USCPAの方は1問1問は結構易しい感じなのですが会計士試験なので範囲が広い分学習に時間がかかるという面が強いですね。
また、簿記1級の方は大問が与えられてその中で細かい設問に解答していくというスタイルなので1問がかなり大きく考えさせられる問題構成になっています。
要は、難易度の高い少ない問題数をこなして点を稼いでいく試験。
対して、USCPAは暗記で対応できる面がかなり強く試験問題もそれなりの難易度の問題を次々と解答していくというもの。
なので、USCPAの方が暗記型で簿記1級の方が思考型とも言えます。
ただ、どちらの試験も問題の性質を把握して解法パターンを暗記していくという意味では一緒なのですが。
あと、日本人にとってはUSCPAの方が問題が易しい分英語で対応する必要があるという点も楽な試験ではないと言われたりもします。
実際のところは、USCPAはよほどの英語アレルギーがない限りは大体みんな対応できるぐらいの英語レベルなんですけどね。
さすがに英語は全くダメで世の中の英単語が一つも分からないという人は無理だと思いますが、日本語でUSCPAを学べる学校もあるので英語の壁はかなり低い方ですね。
USCPAと簿記1級、転職や就職に有利なのはどっちか比較
ここからは、USCPAと簿記1級の取得価値についてお話します。
やはり取得してから一番気になるのは、就職や転職がしやすいかという点だと思います。
どっちの資格も難関に属する資格なので、取得価値は高いというのが前提です。
その上で比較してみると、USCPAは国際派で簿記1級は国内派という傾向がやはり強いです。
USCPAと簿記1級取得後に就職や転職がしやすい業界や会社というのは次の通りになります。
USCPA:監査法人、税理士法人、外資系企業や海外取引をしている企業の経理・財務、一定規模の国内の大手企業、コンサルティングファーム、企業のIR
簿記1級:日本国内の企業の経理・財務
こんな感じです。
簿記1級は簿記資格で最高峰であり、日本の資格なので合格後は国内のほぼすべての企業の経理や財務職であれば間違いなく評価されます。
就職も転職も変わらず評価されます。
対してUSCPAの場合は、簿記1級ほど有効範囲は広くはないですがピンポイントで特定業界や企業に強いことが特徴です。
自分も恩恵を受けましたが、ダイレクトに監査法人や税理士法人に入れる資格でもあるんですよね。
なので、USCPAの場合は外資系や国際業務を行っている会社など特定の分野に興味がある人向け。
簿記1級の場合は、特定の業界や企業に絞られず広く就職や転職先を考えたい人向けと言えます。
このことから、どっちがすごいかというより合格後に評価される企業や業界を考えた上で取得価値を見極めた方が良いということになります。
USCPAと簿記1級の両方を持っていると最強!
ちなみに、簿記1級とUSCPAを比較していますけど水と油の関係ではなく相乗効果のある資格という面もあります。
先ほど、簿記1級は国内向けでUSCPAは国際向けということを言及しましたがこの2つが合わされば最強です。
まあ、最強といっても日本の公認会計士試験には資格価値としては敵わないのですがどちらか一方よりも両方持っているとすごいです。
自分も簿記1級とUSCPAの両方に合格したかったのですが、USCPA合格を優先したために簿記1級は不合格のまま現在に至ります。
特に、監査法人の場合は未経験で採用されるにはUSCPAは必須なのですがさらに簿記1級も取得しているとさらに採用確率が高まるのです。
監査法人側としては、USCPAが日本の会計士試験よりも簡単というのは周知の事実なのでせめて会計士の基礎とも言える簿記の知識だけはある程度持っておいてもらいたいという内情があります。
簿記1級を取得していれば、日本の会計士ほどではないにしろ簿記の知識が深いことの証明になりますからね。
もちろん、監査法人だけでなくどこの業界でも簿記1級とUSCPAを持っていればほぼすべての業界で就職や転職に有利になりますしドメスティックな企業でも英語が関わる企業でもダブルライセンスは武器になります。
ダブルライセンスって希少価値が高いですから企業にすごく注目されるんですよね。
USCPAのFARが簿記科目にあたるという話
ここからはちなみにという話ですがUSCPAの試験のうち、FARが日本の会計士試験でいうところの「財務会計論」にあたる科目となります。
自分が一番苦手だった科目です(汗)
マジでこれを受験した時の手ごたえのなさと落ち込み具合は半端なかったですが、奇蹟的にギリギリ76点という幸運で合格した時は4科目の合格の中で一番嬉しかったと思います。
自分にとってはUSCPA全科目合格の一番の壁はこのFARだと思って受験していましたから。
しかし、この自分が苦労して受かったFARと言えども、日本の簿記1級の商業簿記セクションに比べたら簡単なんですよね・・。
日本の簿記1級って、どれだけすごいんだって感じですよね。
実際に自分は簿記2級に受かった後、簿記1級にもチャレンジしましたがほとんど歯が立たずに玉砕しました(汗)
FARはもちろん簿記のような計算だけではなく、財務諸表論といった理論問題も出題されますが、やはり簿記が基本となってくるのは間違いないです。
なので、簿記1級に受かっている人にとってはFARは英語力がほとんどなくても100時間ぐらいの勉強で合格できるんじゃないかと思ってしまうほどです。
FARと簿記2級、そして簿記1級を受験した自分の経験から言うとやはり「簿記2級が少し難しくなった」くらいの難易度だと思っています。
なので、簿記1級を受かっている人にはとても尊敬の念を感じてしまいます。
そしてさらに、それよりはるかに難しい日本の会計士試験の財務会計論をパスした人の簿記のレベルはどれだけ高いのかと思い知らされますね。
逆に言うと、計算問題が得意な人にとってはUSCPAのFARで出題される簿記レベルはそんなに大したことではないと思うので、英語力のハンデがある人にとっては持ってこいの科目ともいえます。
自分は数学や計算問題が苦手な性格だったのでこの科目には本当に苦労しましたけど、逆にこの科目で80点以上の高得点をとって合格する人が多いのも事実なのでやはり多くの日本人にとってはこのFARが一番取り組みやすい科目なのかな~なんて思ったりもします。
自分の科目毎の難易度との認識がだいぶ異なってきますね。
AUDとBECが自分の得意科目でしたからね~。
計算問題ほとんどない、ただ暗記するだけが中心の科目の方が自分には合ってたんですね。
ただ、実際の実務になると簿記が得意な人こそが日々の業務で力を発揮するので、合格後のことも考えたとしたらこのFARを得意科目に仕立て上げるのが一番理想ですね。
まあ、自分もそうでしたが受験勉強しているときは合格後の実務のことなんかまったく考えてる余裕はないですけどね。
とにかく合格しないと話にならないので、それだけに向かって勉強してました。
FAR、きっと今また受験しても2度と受からないだろうな~と。
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