「USCPAのライセンスを取得するにはどうすれば?」
「ライセンスを維持・更新するには何をすればいいの?」
今回は、USCPAライセンスの取得と維持についての知識をまとめましたので解説していきます。
USCPAのライセンスとは?
USCPAのライセンスを取得すると、名実ともに米国公認会計士と名乗れるようになります。
名刺にも「USCPA」もしくは「米国公認会計士」と記載ができるようにもなります。
実務経験に裏打ちされているため、試験合格しているだけより信頼度や自分の市場価値がさらに上がります。
また、米国在住者の場合はライセンスを持っている州で会計事務所を開業することが可能となります。
試験合格者と何が違うの?
試験に合格しているだけでも就職や転職で大きな武器になりますが、まだライセンスを取得していないためUSCPAと名乗ることができませんし名刺にも記載ができません。
「USCPA試験合格者」と言えるだけなので、実務経験がなくあくまでも「会計と英語の知識があるポテンシャルの高い人」という位置づけです。
ライセンスは絶対必要か?/3-1
ライセンスがあると単なる試験合格者の立場よりも自分の価値は上がりますが、取得が必須というわけではありません。
試験に合格した人のほとんどはライセンスを取得することになりますが、ライセンスを必要ないと考えて取得しない人も一定数います。
就職や転職活動で役立てたいなら試験合格だけで十分に力を発揮してくれます。
ただ、AICPAやNASBAなどは試験合格後にライセンスを取得することを強く推奨していますし私個人的にもできるだけライセンスは取得することをおすすめしています。
ライセンスを取得・維持するメリット
ライセンスを取得・維持するメリットはいくつかあります。
名刺に「USCPA」と記載できる
やはり大きいのは名刺にUSCPAということを記載して公に知らせることができるということです。
私も試験合格後にライセンスを取得して、名刺に「米国公認会計士」と記載されているのを見た時はとても感慨深いものがありました。
名刺交換の際に自分の強みを自然な形で伝えることができるのは良いものです。
社内外で信用や評価が高くなる/1-2
ライセンスを取得している人は会計実務経験をある程度積んでいる事になりますので、社内外でより信頼され評価が高くなります。
ビジネスの場面では特に、肩書で周りからの扱いや評価が変わることも多いためシグナルを発するという意味でもライセンスは重要です。
社内では昇進に有利
会社や業界にもよりますが、会計職である程度のポジションに上がるためにはUSCPAライセンスが必須の場合もあります。
また、必須ではなくとも外資系企業などは特にライセンスがあるとコントローラーやCFOに昇進しやすくなる傾向があるのがメリットです。
社外では転職等でさらに有利
USCPAのライセンスがあると転職市場での価値がさらに上がりますので、より条件の良い会社やポジションを得ることができます。
自分も試験合格直後よりもライセンス取得後の転職活動の方が、転職エージェントから多くの案件を紹介され「評価されているな」と感じました。
自己肯定感が爆上がりする
USCPAのライセンスを取得すると、自分に大きな自信がつきます。
この自己肯定感の爆上がりは完全な自己満足の世界ですが、これが馬鹿にできません!
試験合格しただけの段階ではまだ「半人前」という感覚だったのですが、ライセンスを取った後は「自分は明確な強みを持つビジネスマンとして一人前になった!」と気分が高揚したのを覚えています。
ライセンス取得州で開業できる
これはほとんどの人にはメリットにはなりませんが、ライセンスを取得した州で会計事務所を開業して独立することができます。
将来的にアメリカに移住したい人や、すでに住んでいる人には大きなメリットとなります。
ライセンス取得の条件
USCPAのライセンスを取得するには、主に以下の2つの条件を満たす必要があります。
・学歴・単位要件
・会計実務経験
これは州によって若干条件が異なりますが、単位取得などに関しては出願時よりも多くの単位を求められる事が多いです。
また、グアム州を除いてはライセンスを取得するためには大体1年以上の会計関連の仕事をして実務経験要件を満たす必要があります。
ライセンス取得におすすめの州/3-12
ライセンス取得におすすめの州は、ワシントン州です。
すでにアメリカに住んでいたり、将来的に米国に移住する予定のある人以外はワシントン州でライセンスを取得する人がほとんどです。
ワシントン州の場合、以下のようにライセンスの取得要件が緩いからという理由があります。
・会計実務経験は監査法人だけでなく、事業会社の経理や財務など幅広く認められる
・実務経験を証明するための署名人(USCPA)が直属の上司でなくても良い
・他州で合格した後にワシントン州に後付けトランスファーができる
ちなみに、私もワシントン州のライセンス保持者です。
合格実績のトランスファーとは?/3-5
トランスファーとは、他州で試験に合格した後にライセンスを取得したい別の州に合格実績を移す制度です。
このトランスファーをすることで、例えばアラスカ州で合格した後にワシントン州でライセンスを取得したいなら合格実績のトランスファーをしてワシントン州でライセンスを取得することが可能です。
特に、ワシントン州の場合は他州で試験合格した後に取得した単位をライセンス取得の要件として満たせる「後付けトランスファー」を認めています。
こういった理由で、ワシントン州でライセンス取得するのが人気となっているのです。
ライセンス登録の方法/3-4
ライセンス登録をするには、学歴・単位や実務経験要件を満たすだけでなく以下のように色々な手続きが必要となってきます。
・学歴審査を依頼する(NIESを利用)
・不足単位を追加取得する(自分が利用している予備校で)
・AICPAの倫理試験に合格する(AICPA Storeで購入)
・ワシントン州の倫理ビデオを視聴する(ワシントン州でライセンス取得する場合)
・合格実績のトランスファーをする(他州でライセンスを取得する場合)
・追加単位の成績証明書を発行する(予備校にやってもらう)
・英文のCV(職務経歴書)を用意する(ライセンス申請の際に必要)
・USCPAホルダーのサインをもらう
・USCPAのライセンス申請をする(オンラインで行う)
USCPAホルダーのサインをもらうためには、予備校のライセンスサポートを利用して面談をする必要がありますのでご自身が利用していた予備校に問い合わせてみましょう。
ライセンスの維持・更新方法/3-2
ライセンスは一度取得したらそれで終わりではありません。
どの州でも、一定期間毎にライセンスの更新をする必要があります。
例えば、日本人の多くがライセンス取得をするワシントン州の場合は3年毎の更新を求めています。
更新をするためには、
・CPE(継続教育)で120単位を取得する
・更新時期が来たら更新料の支払いをする
上記の2つを行って毎回更新をします。
CPEに関しては、CPEサービスプロバイダに申し込んですべてオンラインで受講及びテストを受けて会計・ビジネス単位を取得することができます。
ライセンスの取得・維持費用
ライセンスを取得・維持するためには要件を満たした上で色々と手続きをする必要がありますが、当然のことながら費用もかかります。
ライセンスの取得費用と維持費用を分けて考えた場合、
取得費用:10~25万円(必要な取得単位によって個人差がある)
維持費用:約87,000円(1ドル145円で計算)
取得費用に関しては最初の1回で終わりですが、ライセンスの維持は一定期間ごとに毎回行う必要があるので定期的に上記の費用がかかります。
取得費用の内訳としては学歴審査費用、倫理試験受験料、ライセンス登録料、トランスファー費用、予備校のライセンスサポート料、追加単位取得料が含まれています。
維持費用はCPEの受講と更新手続き料が含まれています。
USCPA資格の名刺への記載/3-6
USCPAのライセンスを取得後は、名刺へ記載することができます。
名刺に記載する際の表記の仕方は以下の例のように比較的自由です。
・米国公認会計士
・USCPA
・○○州米国公認会計士
・USCPA(○○州)
ちなみに、グアム州のInactiveライセンスを取得している場合は「USCPA(Inactive)」と記載する必要があります。
##ライセンス取得後のキャリアアップ
USCPAはライセンスを取得して更新を続けながらもキャリアアップしていくことをおすすめします。
USCPAは高い年収やポジションを得られるだけのポテンシャルがあるからです。
より高年収を求めて転職/9-8
USCPAの試験に合格しただけでも転職市場で大きく有利となりますが、実務経験を経てライセンスを取得した後はさらに転職可能性が広がります。
やはり実務経験に裏付けされたUSCPAは様々な会社や業界で需要が高くなります。
USCPAの場合、外資系企業やグローバルな仕事をする会社で働いている場合が多いので転職を何度かすることで年収が大幅に上がるケースが多いです。
実務経験のあるUSCPAなら、高年収を得られる以下の業界や職種に転職できる可能性がアップします。
・監査法人系のFAS
・外資系企業でのFP&A
・戦略コンサル
・投資銀行のフロント
・総合商社
もちろん高い年収を得られる業界は仕事が忙しくなりますが、自己研鑽を続けてキャリアを積んでいけばいずれはCFOやパートナーなどの役員級のポジションに到達することも可能です。
海外の大学院などに留学/3-7
USCPAのライセンスを得た後は、MBAなど海外の大学院に留学をして学歴と市場価値をアップさせるというのもアリです。
ただ、実際に海外の大学院に留学をするとなると学費や滞在費など含めて1000万単位の費用がかかることもざらにありますので余裕があれば考えてみても良いでしょう。
ちなみに、「費用を抑えて海外の大学院を卒業したい!」という人にはロンドン大学の会計学修士プログラムがおすすめです。
これはUSCPAのライセンス保有者を対象にした完全オンラインでの授業で、日本にいながらにして100万円以下の費用で有名なロンドン大学の修士号を取得できるのです。
USCPAライセンスを取得した人だけの役得とも言えるプログラムで、近年大人気でおすすめです。
ライセンス取得・維持のQ&A
ここではライセンス取得・維持のQ&Aについてまとめています。
実務経験なしでライセンス取得できる?/3-13
原則ライセンスを取得する際は実務経験が必要ですが、グアム州の「Inactiveライセンス」なら実務経験なしでライセンスを取得できます。
また、ワシントン州では最初にライセンス登録をする際は実務経験が必要ですが、その後の更新の際はInactiveライセンスへの切り替えも可能です。
USCPAのバッジってあるの?
弁護士バッジのように、USCPA特有のバッジというのはありません。
ただ、監査法人によってはメンバーファームとしてのバッジを支給される場合もあります。
ライセンス取得後は自動継続?/3-11
ライセンスを取得した後は自動継続とならず、更新手続きが必要となります。
ワシントン州なら3年毎に自分からBOAのサイトにログインして更新手続きを完了させます。
ライセンスを更新しないで放っておくと、ステータスが失効(Lapsed)となります。
以下は古い記事になります↓↓
ライセンスを取得することによってより信頼を得られる。だけど一番は・・
USCPAの場合、基本的には合格できるのかという事や転職できるのかということが一番きになりますよね。
日本で仕事をする以上はUSCPAで会計士として独立することはできないので、あくまでもサラリーマンとしての市場価値を高めるためのものにすぎないです(アメリカでなら開業できるようになります)。
とはいえ!
実際、ライセンスを取得して名刺に「米国公認会計士」と記載されるようになると「ああ~~、俺会計士!しかもアメリカの会計士なんてなんかかっこいい!」と喜んでしまう自分が当時はいました(笑)
実際はJCPAに受かる方がすごいんですけどね、ほんとに。
日本で働くにあたって、USCPAのライセンスというのはクライアントからの信頼が厚くなるという以上に「自己満足」というのが自分としては正直なところです。
実際、今は会計とは違う事業をしているので本当にただの自己満足感を失いたくないだけの一心でこれから更新に向けて茶番をする所存でおります。
ライセンスはどのようにして取得するのか?どういう手続きが必要?
USCPAの場合、日本の会計士資格取得よりもかなり条件が緩いのでライセンス取得までの道のりが結構楽です。
日本の場合は、同じく中堅監査法人時代に一緒に入社したJCPAの人たちを見ていると補修所に通ってテストを休みの日に受けたり、業務経験が監査に近いものでないといけなかったりと結構大変だったのを見てきたんですよね。
それとは逆に、USCPAの場合は州にもよりますが大体はワシントン州なのでその場合は補修所なんてのは当然なく、「監査や経理、金融など会計に多少でも関わる業務経験を1年積めばOK」といったかなり緩いライセンス発行条件になってます。
だから、別に監査法人で働かなくとも、経理の仕事ではなくとも、結構余裕でライセンス要件を満たせると思います。
事業会社の経理や財務の仕事をしている人も間違いなく満たせることになるので、これを気にする必要はほとんどないですね。
まあ、自分はガッツリ監査職だったので特に何も考えることはありませんでしたが。
で、ライセンスの発行方法としては具体的にいうと履歴書(日本語)をグアム大学日本事務局など、USCPAの人に「ちょちょっとサインしてもらうだけ」でライセンスを発行してもらうことができます。
これは州によっても違うので、「会社の直属の上司でUSCPAホルダーにサインをもらう必要がある」というところもありますがワシントン州の場合は外部のUSCPAホルダーに頼めばOKです。
ワシントン州はライセンスのトランスファーや維持要件など、色々と緩いので助かってます。
だから、上記で言った会計関連の業務経験も実際は履歴書を見せて「どういう仕事してきたの?」ってUSCPAホルダーの先生に聞かれてそれにこたえるだけの申告ベースなので「これって嘘ついてもばれないのかな・・」なんて考えちゃいましたけど。
なので、そういうサインをするサービスを行っているところにかけこんでサインをもらってあとはその州が管理しているシステムもしくは資料に色々と記載すると後日・・・・・荘厳な、威厳のある、「いかにもライセンス!」というような卒業証書にも似たようなちょっと固めの紙1枚のライセンス証明書が送られてきます!
そこで始めての感動が生まれるのです(ちなみに紙の証明書がなくなっても実際はオンライン上で管理されているのですが僕はその証明書をとっておいてます!)。
ライセンスを一旦取得したら3年に1度CPEを受けて更新手続きをする
で、ライセンスを一旦取得すると3年ごとに更新がやってきます。
この更新手続きをするには、まずはCPE(継続教育)で120単位を3年かけて終わらせる必要があります(倫理試験も)。
この更新手続きは、ちょっとからくりがあって例えば2020年6月にライセンスを取得した場合、ライセンスの有効期限は3年後の2023年の6月ということになりますよね。
でも!
気をつけなければいけないのは、CPEで単位をとるのはその前の年の年末までに終わらせていないといけないということです!
で、この場合はオンライン学習&テストを2022年中に終わらせなければいけないのです。
それを終えた上で、次の年の有効期限までに更新手続きをすることになります。
ライセンス更新する意味ってあるのかな?
少なくとも、今の自分にはライセンスを更新する合理的な意味はありません。
ライセンスの更新費用が約200ドル、CPEを取得するための教材費用が約300ドル発生するので3年毎に5万円の更新経費をかけることになります。
会計士としての仕事はほとんどしないので、全く意味はないのですが完全に自己満足。
監査法人にいたり会社勤めしていれば、ライセンスの取得費用や更新経費は会社が出してくれるのでこういうことを気にする必要なないのですが更新しないと資格なくなっちゃいますからね~。
他に誇れるものがあまりないので、USCPAに合格したことぐらいはずっとしがみついてたいんですよね(笑)
ライセンス更新のためのCPEはほぼ茶番だから安心してね(笑)
というわけで、本来3年かけて少しずつやるという形になっていてそれをあと3ヶ月足らずで終わらせなければいけないわけですが・・・余裕です(笑)
結局、アメリカの会計士協会は更新手続き料やCPEの教材費など「マネー」が欲しいだけなのでオンライン学習&テストも「問題に対する自分の選択の正答率がリアルタイムで出る」という茶番の試験になっております。
ただ、最終試験だけはさすがにリアルタイムで正答率が出る方式ではないので茶番ではないのですが・・・・何回落ちても何回でもチャレンジできます(笑)
なので、自分の場合はテキストを全く読まずにいきなり最終試験に挑んでいます。
テストが終わると、その場で正答率が出てくるので「間違っているであろう箇所をテキストの該当のところを参考にして1つ1つ正答を増やしていけばいつかは必ず合格する」という試験になっています。
というわけなので、最初に勉強してから挑むのはものすごく非効率的。
「最終試験の問題を見て、一旦解答して落ちてからテキストの該当箇所を見て対応する」というのが一番良いという結論になっています。
事前に勉強する必要は一切なし。
ある意味、問題に対する答えをリサーチする作業とも言えますね。
ちなみに、CPEで単位を取るには「CPE Depot」というサイトから教材を購入するのが有名で自分もそれを使って2週間集中的に単位をとって終わらせました。
なので、個人的にはUSCPAを狙っている人にはライセンス取得まで頑張ってもらいたいと思います。
「ええ~~、アメリカの会計士の方なんですね~!試験は英語なんですよね?なんだかすごいですね!」なんて言われて「いや~、そんなことは・・・・へへへ」って思う日がやってくると思いますんで(笑)
日本の会計士試験より簡単なUSCPAですが、それでも合格するにはかなり苦労するのでやはり一旦取得した以上は失いたくないという人がほとんどではないでしょうか。
以上!
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