今回は、ちょっとした比較話をしています。

アメリカの会計事務所と日本の監査法人の採用方針の違いを最初、自分が知った時は結構新鮮でした。

また、紙調書と電子調書の比較や実務で誰もが必ず行うサインと押印(ハンコ)についても取るに足らない話をしています。

アメリカの会計事務所と日本の監査法人は異なるシステム

日本で会計士として働く場合、90%以上の人たち(10%はUSCPA等)は日本の会計士試験にまず受かってから監査法人や税理士法人、または個人の会計事務所に入社するというのが当たり前の制度となっています。

医者や弁護士、公認会計士等は難関資格に合格するぐらいのレベルの知識を持たなければプロとして仕事を行わせないというのが日本での考え方なんでしょうね。

でも同じ会計事務所でも、国によって入所条件や給与水準、入所後の競争の激しさ等が異なってくることをアメリカに留学をしているときに初めて知りました。

アメリカでは、驚くことにUSCPAに合格をしてから会計事務所に入所する人はほとんどいないのです。

USCPAは「基本的な必要最低限な知識を身につけているかどうかを確認する試験」という位置づけなので、難関資格として候補者をふるいにかける試験ではないことがそもそも日本の会計士試験と異なってきます。

なので、アメリカの会計事務所は入社するのにUSCPAの合格を必須条件とはしていません。

「じゃあ、アメリカの会計事務所は何を基準に採用しているのか?」

それは、大学の成績です。

日本では大学の成績なんかは監査法人に限らず就職の際にほとんど重要視されないという話を聞きます。

ただ、アメリカの場合はどの企業も大学の成績(アメリカではGPA)、それも特に自分の専攻している分野の成績が入社の際に重視されます。

なので、会計事務所では大学で会計学を専攻していることがほぼ必須条件となります。

さらに、成績も優秀であればもうBig4からは完全に引っ張りだこ状態なのです。

USCPAに合格しているかなんてのは、ほとんど重要視されません。

アメリカの会計事務所では、会計学を専攻している成績優秀な学生を積極的に採用し、USCPAに関しては入社してから3年以内に自分のペースで受験して合格することが求められる程度です。

日本とアメリカの採用基準は上記のように大きく異なってくるわけですね。

また、アメリカの会計事務所は入社後の給与や待遇も日本の監査法人とは大きく異なってきます。

最近になって日本でも公認会計士の数は増加傾向にありますが、アメリカの公認会計士の数は日本よりもはるかに多いです。

これが何を意味するのか?

これは、アメリカの会計事務所は日本に比べて採用人数が多い傾向があります。

さすが自由の国アメリカですね。

多くの人にチャンスを与える国・・・とだけ思っていたらそこは違います。

採用人数が多いということは、会計事務所で働けるチャンスが日本よりも多いわけですが、逆に給与水準が日本の監査法人よりも低いのです。

さらに、日本の監査法人のように一旦入れば強制的にリストラになるようなことはあまりないほぼ安泰な状態とは違って、能力主義でバッサリとできない人は排除されます。

ようするに、アメリカの場合は会計事務所で経験を積めるチャンスは多いかわりに、給与が日本に比べて劣るのと同時に入社後も競争が激しいわけです。

「働かしてみないとわからない」という感じでアメリカの会計事務所はとりあえず最低限の知識を持った人たちをどんどん入社させて、仕事させながら選抜していくというわけですね。

そんなわけで、日本とアメリカの会計事務所では採用方針も、入社後の待遇も全く異なってくるわけです。

会計事務所で働きたい人たちにとっては一体どっちの方が好ましいのでしょうか?

これは、人によりけりですよね~。

日本は、難関の会計士試験に合格しないと入社できないという厳しい入社前の選抜がありますが、一旦入ってしまえばよほどのことでないとクビにはなりませんし、比較的高給取りで安泰な生活を送れます。

それに対して、アメリカでは給与水準が日本に比べると低くて入社後のリストラや選抜も激しいですが、多くの人に入社するチャンスが与えられるため、とにかく会計事務所で経験を積みたい人にとってはありがたいシステムでもあると思います。

みなさんは一体どっちのシステムがお好みでしょうか?

紙調書と電子調書

監査法人にもよりますが、最近では監査調書はエクセル等のデータ上で作成してそれを法人専用の監査システム上にアップロードして完結というのが主流になってきています。

そのため、昔のように紙に鉛筆で書き込んで調書を作成するという面倒なことをする割合はかなり少なくなってきています。

ただ、やはり調書のデータ化が進んでいるのはBig4で、中小の監査法人だとエクセルなどで作成するのですが、最終的には作成した調書をプリントアウトして調書化して紙ベースで保管をすることが多いです。

逆に、大手監査法人時代ではエクセルやワードで作成した調書はすべて専用の監査システム上にアップロードしてサインも自分の名前をシステム上に登録するだけで成果物として完了するため、紙として保管することが少ないです。

なので、法人によって先輩や上司にレビューしてもらう流れも違ってきます。

中堅監査法人時代は、自分が調書をエクセル等で作成して、それをプリントアウトして紙ベースで上司にレビューしてもらうという流れになります。

この場合だと、レビューしてもらってダメ出しが入る度にプリントアウトしなきゃいけないから結構手間なんですよね~。

それに対して、大手監査法人時代では基本プリントアウトすることはないのでレビューしてもらう時は作成したエクセルの調書をデータでそのまま上司に見てもらうことになります。

そして、レビューコメント(ダメ出しのことです)もエクセルやワードのコメント機能でコメントしてもらうことになることが多いので、結構効率的なレビューの流れになります。

っていうか、そもそも中堅監査法人時代もエクセルで調書作成が完了した段階でレビューしてもらうこともできるのに、みんな紙ベースでレビューしたがるんですよね・・その法人の体質ってやつですかね・・。

ただまあ、調書の完全データ化が進んでいるといっても、どうしても紙ベースで調書を作成しないといけない場面もあるわけなので、紙調書がなくなることはこの先ないと思いますね。

代表的な例としては、内部統制監査です。

内部統制監査では、クライアントから紙ベースでもらった資料に直接書き込んで調書を作成することになることが多いので、必然的に紙調書が最終成果物になります。

とはいえ、今の法人に入ってからはデータで完結することがほとんどなのは事実なので、「さすが大手は進んでいるな~」と入社した時に関心したのを今でも覚えています。

それにしても、PCがない頃の監査って全部紙ベースで調書を作成していたらしいので、それを想像すると会計士になりたくなくなりそうですね(笑)

あの膨大な量の数字とかを自分の手で書いたり、表も自分で描いたりしなきゃいけないんですから、昔の会計監査を経験した人には脱帽です。

腱鞘炎にでもなってしまいそうですね(笑)

ハンコVSサイン!!

大手監査法人時代では、調書作成はデータで完結させるのが主流というお話をしましたが、内部統制監査等のクライアントからもらう紙資料を使って調書を作る時は、必然的に紙ベースでの調書作成をする必要があります。

その際に最終的に調書化をする時は必ずすべてのページに調書を作成した日付と自分のサインもしくは押印をする必要があるのですが、ハンコの方が便利なのかそれともサインの方が楽なのかは細かいところですがいつも悩むところです。

まあ、悩むといってもその法人の習慣に従うだけなので基本的に自分で選択することはできないんですけどね。

中堅監査法人にいた時は、入所した職員全員に日付と名前が刻印されたハンコを支給されていたので、最後に調書化をする際は日付を合わせてハンコをポンポン押していくという流れでした。

それに対して、大手監査法人時代はハンコが支給されるかと思いきや、「ない!」

紙調書を調書化する際はすべてのページに直筆で日付とサインをしなければいけなということなんです。

とても細かいことなんですが、「う~ん、一体どっちの方が便利なんだろうな~」って思うことが多いのです。

内部統制監査の場合、クライアントからもらう証憑類の紙資料も調書として扱うため、一つの調書自体が紙ベースで100ページ以上になることもあります。

その場合、今の法人ではすべてのページにシャーペンもしくは鉛筆で日付とサインをするもんだから、この作業だけでも相当面倒だったりします(またもや腱鞘炎になりそうな・・・)。

なので、一見するとハンコでポンポン押していった方が確実に便利なように思えるのですがそうとも限らないのです。

なぜかというと、この監査調書の作成という業務は「大人の事情」がありまして(笑)、実際に作成した日付と違う日付を調書化する際に記載する必要がある場合もあります。

そのため、当初はある日付でサインをしていたのに、途中から上司に「この日付、●月●日に直しておいてくれる~?」という大人の事情がやってくる場合もちらほらあります。

そういう時にハンコで一度押してしまったものは、当然消しゴムですぐに消せるはずもないので修正するのがとても面倒になるんですよね(汗)

その場合、ハンコではなくサインをする場合の方が消しゴムですぐに消して修正できるので、サインの方が融通がきくということになります(何十ページも消しゴムで消して修正するのも相当面倒ですが・・・)。

なので、一概にどっちが完全に有利とは言えないというのが結論なんですよ。

ケースバーケースってことですね。

紙調書の量が少ない場合は圧倒的にサインで終わらせてしまった方が楽ですし(ハンコの設定も意外と面倒なんです・・)、紙調書の量が膨大な場合はハンコでお役所さんのようにどんどん押していった方がすごく便利です。

ただ、ハンコで調書化をする場合はちゃんと日付が後から変わらないように上司とか先輩に念を押してから押した方がいいですね。

膨大な量のページにハンコを押したあとに、「あれ?この日付じゃなくて別の日付だよ!」なんて言われた日にゃ~げんなりするわけですよw

なので、「面倒だが融通の利くサイン」と「楽だが融通のきかないハンコ」。

この2つのバトルは永遠に勝ち負けがつかないことになりそうなのです。

他の法人ではどのくらいがハンコでどのくらいがサインなのか、ちょっと気になりますね。

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